寺津町の平屋(いちご農家さんの家)

仕事をしながら暮らす。遊びながら暮らす。とても柔軟な考えのご夫婦の家づくりをさせていただきました。
実は6年前にも一度家づくりを考えたお二人でしたが、建築地を今回場所に変えて再スタートしました。農業のお仕事は毎日の生活時間が一定ではなく、気温や気候に向き合ってする必要があり人間が決めることができない部分もあり柔軟な考えが培われるのだと思います。とても若いご夫婦ですが、自然素材への理解も深く環境に抗わず上手く付き合っていく術をご存じの様でした。
家づくりとは、そもそもが与えられた敷地にあわせて風土や気候を考慮し人の動線や視線を考えつつ気楽にリラックスしてプライベートな時間をすごす巣のようなもの。建物の素性に翻弄されることなく堅固に安全を守り、耐久性をもって安心して過ごすことのできるものを作る事。
その中で、何をしている時間が豊かにかんじるのかと向き合ったり、家族の成長や老いに合わせて変化させていくことを工夫をしながらつづけていくことだと思います。
お二人からは大きな要望はいただいていないのですが、時間があれば料理やお菓子を作ったりされる奥さま。お友達がたくさんいて時間があれば庭で七輪BBQをしたり、趣味やDIYを楽しまれるご主人。
そして建築中に授かったお子さんもお引き渡し直後に生まれて、新しい家族とともに新しい暮らしをスタートされましたが、23坪と比較的コンパクトなサイズのお家を広々と使われているようで、それぞれの部屋の大きさは十分でとても23坪のお家とは思えなくて不思議です!と言っていただけます。
もちろん物が少なくて整理されているからというのも大きいのですが、壁付けのキッチンや作業台を兼ねたダイニングテーブルなど部屋を広く感じさせるような設えをしたことが成功の秘訣なのです。

House

・家族の優しさ・繋がりを共有する家
・飾らない美しさを大事にする家
・自分らしくカスタムできる家
・自然の恩恵を感じる家
・庭とのつながる家
・将来の変化に備える家

そんな想いを叶えるお家です。

point

ダイニングテーブルはお二人が一目ぼれした欅の曲がりのある一枚板。存在感がありますが脚を作業台として使用できるように収納として考えました。抽斗と棚があり、抽斗はオークの無垢で出して箱としても可愛らしい仕様。
お客様が来た時にもカトラリー入れとしてや、テーブルで使う小物を入れたり、日用品を入れたりと使い勝手も良く見た目もよいものです。
そしてなにより高さが70㎝なのでダイニングテーブルとしても使え省スペース化もはかれます。
言葉で説明すると難しいのですが、リビングとキッチンの間にある家具の高さは重要です。
通常のキッチンだと85㎝とリビングにいる側からは高く感じるので圧迫感を与えてしまいがちなのですが、低いことと足元がオープンなので部屋を広く感じさせてくれます。
こうした空間の構成をしっかりと把握しデザインしていくことでコンパクトな住宅を広く感じさせることが非常に重要になります。また、移動できるような床にくっついていないものにすることで、家族の人数や来客時に移動させたりできれば部屋の使い方を調節できるので、2人でも10人人でも対応できます。お家の大きさは変えられませんので最初にしっかりとコンセプトを決めることが大切なのです。

設備はシンプルにしてメンテナンスや掃除のしやすい素材のものを選んでいます。収納は後からも取り付けできるように壁を板張りにしたり、家具を置けるスペースを設けていたりと工夫をしています。外での食事を楽しむことが多いので外部シンクもお湯が出るようにし、軒のある場所に設置することで使いやすく考えました。

またこちらのお宅では農家を営まれているので、農業用倉庫を併設していますがそちらも同じく木造とし瓦屋根の建築としました。以前は鉄骨スレートでの倉庫が主流でしたが長年使用を検討する中で汎用性や耐久性を考え自然素材を利用したものがよいとのご判断です。こちらは外壁は杉板で住宅と同じ素材ですがクリア塗装することで経年の色変化も見られます。室内はベニヤを使用しているので必要時に棚やフックを取付けることができるようにしており、お仕事で必要な道具の収納をご自身でカスタムできるようにしています。

寺津の平屋2

完成   2024年完成
所在地  愛知県西尾市
敷地面積 285.49㎡(86.3坪)
延床面積 78.67㎡ (23.8坪)
市街化区域
平屋

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