家づくり二周目に響くイシハラスタイルと作る家の余白

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はじめに|一度建てたからこそ、見えてくるもの

家づくりを一度経験した人ほど、次の家づくりで慎重になります。

最初の家づくりでは、「理想の暮らし」や「正解」を追いかけます。展示場を回り、性能表を比べ、SNSで事例を集める。その時間は、確かに楽しいものです。

けれど、実際に住み始めて数年が経つと、少しずつ視点が変わってきます。

  • 思っていたより、使っていない部屋がある
  • 掃除やメンテナンスに、少し疲れてきた
  • 見た目は好きなはずなのに、なぜか落ち着かない

そしてもう一つ、二周目の人が強く意識し始めるのが、修理や交換にかかる手間とお金です。

建てた当初は気にならなかった素材も、
傷みやすさや経年劣化が現実として見えてくる。
その経験を通して、

  • なるべく修理費がかからないこと
  • 交換前提ではなく、長く使い続けられること
  • 劣化するのではなく、風合いが増していくこと

そんな資材や素材に、自然と目が向くようになります。

二周目の家づくりは、「憧れ」ではなく「実感」から始まります。
だからこそ、工務店選びも難しくなるのです。


二周目になると、悩みの質が変わる

二周目の家づくりでは、知識は十分にあります。
断熱性能も、構造も、自然素材の良し悪しも、ある程度分かっている。

一見すると、迷いは少ないように思われがちです。
実際、何が大切かは、もう分かっているという方がほとんどです。

  • 性能は最低限、きちんと確保したい
  • メンテナンスに追われる家にはしたくない
  • 流行よりも、長く違和感のない佇まいを選びたい

二周目の迷いは、「分からない」から生まれるのではありません。
取捨選択の方向性が、はっきりしているからこそ生まれます。

大切にしたい軸は見えている。
けれど、その軸をどこまで貫いていいのか、
どこを削っても後悔しないのか、
その判断に自信が持てなくなるのです。

「性能を上げれば安心なのか」
「広さを削るのは不安ではないか」
「素材を優先すると、他を我慢することになるのか」

これは、判断力が足りないのではありません。
経験があるからこそ、選択の重みを知っている状態です。


一周目では、イシハラスタイルは分かりにくい

正直に言うと、イシハラスタイルの家づくりは、
一周目の家づくりでは魅力が伝わりにくいかもしれません。

派手なデザインがあるわけでもなく、
設備やオプションをたくさん並べるわけでもない。

さらにイシハラスタイルでは、
可変性を高めるために、あえて「今やらなくていいこと」を選びません。

  • 住みながら判断できること
  • 後から手を入れられること
  • 暮らし方が定まってから決めたほうがいいこと

そうした要素は、最初から作り込まず、
余白として残す選択をします。

一周目の家づくりでは、
「せっかく建てるなら、最初から完成させたい」
「後でやるのは、もったいない」
そう感じるのは自然なことです。

けれど、暮らしは時間とともに変わります。
家族構成も、働き方も、価値観も変わっていく。

だからこそイシハラスタイルでは、
後からできることは、あえて今やらない。

完成させすぎないことで、
住み手が自分のタイミングで手を加えられる。
その柔らかさこそが、長く暮らす家には必要だと考えています。


二周目になると、価値が反転する

これは、本当は一周目の人にこそ、
先に知っておいてほしいことです。

一度暮らしを経験すると、
家に求めるものは大きく変わってきます。

目に見える性能や新しさ、
比較しやすい数値よりも、

  • 掃除が楽であること
  • 手入れが現実的であること
  • 気持ちが静かに整うこと
  • 時間とともに、違和感が増えないこと

こうした日々の感覚のほうが、
暮らしの満足度を大きく左右することに気づきます。

けれどこれらは、
カタログや性能表を見比べているだけでは、
なかなか実感できません。

イシハラスタイルは、
二周目の家づくりを考える人たちと向き合う中で、
こうした価値が「あとから反転する」場面を
何度も見てきました。

だからこそ一周目の人には、

  • 最初からつくり込みすぎないこと
  • 素材の持つ力を信じること
  • 暮らしながら整えられる余白を残すこと

を、参考にしてほしいと考えています。

それは、完成度を下げる選択ではなく、
時間と暮らしの変化に耐えられる家にするための考え方です。

二周目で気づく価値を、
一周目の今、少しだけ先取りしてもらえたら。
そのために、イシハラスタイルはこの考え方を伝え続けています。


イシハラスタイルがしているのは、家を売ることではない

イシハラスタイルが最初に行うのは、
間取りを描くことでも、仕様を決めることでもありません。

まず行うのは、

  • 前の家で、何に違和感があったのか
  • 何が「やりすぎ」だったのか
  • 本当は、何が心地よかったのか

を、一緒に言葉にすることです。

二周目の家づくりに必要なのは、
新しい提案よりも、整理です。

迷いを否定せず、急がせず、
判断軸を取り戻すための時間をつくる。
それが、イシハラスタイルの役割だと考えています。


暮らしながら、良さに気づいていく家をめざして

イシハラスタイルの家は、
見た瞬間に「すごい」と感じる家ではありません。

けれど、

  • 何年経っても、落ち着く
  • 手をかけることが、負担にならない
  • 暮らしのリズムが、自然に整う

そんな家を目指しています。

一度建てたからこそ分かることがあります。

足し算では、満足は増えない。
整えることで、暮らしは深くなる。

二周目だからこそ、
イシハラスタイルの良さが、静かに、でも確かに伝わるのだと思います。


おわりに|迷っている今が、ちょうどいい

迷ってからで、大丈夫です。

家づくりは、最初から答えが見えていなくても構いません。
暮らしを想像し、悩み、立ち止まる時間そのものが、
これからの住まいを少しずつかたちづくっていきます。

二周目の家づくりには、二周目なりの答えがあります。
そしてその多くは、
「もっと肩の力を抜いてよかった」
「最初から決めすぎなくてよかった」
という、静かな気づきです。

だから一周目の今は、
すべてを完成させようとしなくていい。
迷いながら決めることも、
時間に委ねることも、
どれも立派な選択のひとつです。

イシハラスタイルが大切にしている「余白」には、
家を育てていくための伸びしろを残すという意味があります。
失敗を恐れるなら、
住みながら決められるゆとりを持てばいい。
そう考えています。

どんなことを、最初からつくり込まないのか。
どこを、暮らしながら整えていく余地として残すのか。

そうした「建築としての余白」を一緒に考えていく。
それが、イシハラスタイルの家づくりです。

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