築40年超マンションを「買うか迷う人」へ

価格に惑わされず“未来の安心”で判断するために
“古いマンションって、買っても大丈夫?”
そう感じている人に向けて、
築40年以上のマンションを検討するときの視点をお伝えします。
私は最近、伯母の依頼で築40年越えのマンション売却のお手伝いをしました。
建築を業としているものとして売り手としても買い手を思うと気になる点がいろいろとありましたのでブログにすることにしました。
最近は、築古でも立地の良い物件は人気があります。
しかしときに、
- 思ったよりリフォーム費用がかかる
- 想定外の修繕リスクが出てくる
- 将来売りにくい
という“見えないリスク”を抱えることもあります。
大切なのは、
安く買うことではなく、価値を見極めて買うことです。
■ 立地や広さが良くても、階数と設備を冷静に見る
例えば、駅近で間取りが広くても、
エレベーターなし × 高層階の場合は大きな注意ポイントです。
日常生活の負担はもちろん、
将来売却するときに買い手が付きにくい可能性があります。
実際、伯母の物件の内見をしていただいても4階までの階段が大変だということで、なかなか商談はすすみませんでした。分譲マンションの場合、老後まで暮らすことを希望している方が多く、現に私の伯母もこの階段が問題となり施設入居を余儀なくされました。
✅ 低層階なら検討価値あり
✅ 高層階は“出口戦略”まで考える
つまり、
買った瞬間の満足だけでなく、手放す未来まで含めて考える
これが築古物件の賢い向き合い方です。
■ 管理状態とインフラ更新は“生命線”
築年数より重要なのは、
管理の質とインフラ更新の有無。
- 自主管理でもしっかり積立があるか
- 大規模修繕の履歴はあるか
- 給排水管は更新済みか(露出配管の場合のリスク)
- 電気容量は現代仕様に耐えられるか
配管や共用部が弱っていれば、
表面的なリフォームでは解決できません。
安く買える=お得ではなく
“見えないところに未来コスト”がある可能性
■ 中古マンション市場は「情報差」が前提
不動産会社は“売れれば利益”という仕組み
ここで少しリアルな話を。
中古マンションの売買は本来三者です。
- 売り主
- 不動産仲介
- 買い手(あなた)
しかし実態は、
売り手 + 仲介(成約で利益)
vs
買い手(情報が弱い)
という構図になりがちです。
これが“悪い”のではありません。
仕組みとして利益方向が揃いやすいというだけです。
だからこそ買い手は、
“疑う”ではなく、
情報で対等になる必要がある
ということ。
■ 買い手の味方をつくる選択肢もある
ただし“丸投げ”ではなく共に判断する姿勢で
買い手側仲介(バイヤーズエージェント)は
心強い選択肢です。
ただし、
仲介に任せる → ❌
仲介と“並走”する → ✅
自分でも一定の知識を持ち、
専門家の視点を借りる。
この姿勢が、後悔のない選択につながります。
■ 結論:築古マンションは“掘り出し物市場”
だからこそ、慎重に見極める価値がある
築40年を超えていても、
- 立地が良い
- 管理が丁寧
- インフラ更新済み
- 低層階
- 将来ニーズが見込める
こうした条件が揃えば、
将来性も含めて良い買い物になります。
逆に、
条件が揃わない状態で購入すると、
“安く買えても、出口で困る”
という未来が来ることも。
中古マンションの正しい姿勢は
価格に飛びつかず、価値を掴む
です。
あなたの暮らしも、資産も守る家選びを。
その一歩は、情報で対等になることから始まります。
―「毎月いくら」ではなく「総額 × 一戸あたり」で見る
中古マンション購入で、
もっとも誤解されがちなポイントが修繕積立金です。
営業トークでは
「積立金はきちんとあります」
と言われますが、
実際は数字の見方次第で評価がまったく変わります。
■ チェックすべきは “総額” と “戸数割”
✅ 正しい評価方法
修繕積立金総額 ÷ 戸数 = 一戸当たりの積立額
例:
総額 3,000万円/30戸
→ 100万円/戸
理想ラインは
- 100万円/戸以上 … 健全
- 50万円/戸以下 … 注意
- 30万円/戸以下 … 将来リスク大
※あくまで目安
■ 注意:月額が高い=安心ではない
よくある誤解
「毎月1万円以上払ってるなら安心」
→ ❌
大切なのは、
どれだけ貯まっているか/今後どれだけ必要か
■ 長期修繕計画の有無は必須確認
見るポイント:
- 作成年度(古すぎないか)
- 想定工事単価が現実的か
- 直近大規模の実施履歴
古い計画は
物価上昇を反映していない場合があります。
■ 結論
積立金=マンションの未来資産
数字で判断できるようになると
“安心して住めるマンション”が見えてきます。
② 給排水管が“露出配管”の場合の注意点
― 更新済みでも「見た目」「将来の修繕」「資産性」を考える
築古マンションではしばしば
露出配管に出会います。
見た目の問題だけではなく、
生活性と資産性に関わる要素です。
■ 露出配管=悪ではない
メリット:
- 更新履歴が明確
- 点検しやすくトラブルに強い
デメリット:
- 見た目に難あり
- リフォーム時に手間
- 資産性評価で不利になることも
■ 判断基準
| 観点 | 良い状態 | 注意状態 |
|---|---|---|
| 施工の質 | 見栄え良く整理 | 雑・チープな処理 |
| 位置 | 目立たない場所 | 生活動線・視界 |
| 工事履歴 | 全戸更新済み | 部分対応/文字だけ説明 |
■ ポイント
露出=安物ではなく、管理姿勢を読む材料
「安くできる」ではなく
透明性が高い施工かどうか。
③ 築古マンションのリフォーム費用のリアル
― お風呂・配管・電気容量は“隠れコスト”
築古は「リフォーム前提」が多いですが、
費用見積りは慎重に。
■ 見積りの落とし穴
| 一般イメージ | 実際 |
|---|---|
| 内装100~200万? | 300~800万円になることも |
| ユニットバス交換 | 配管工事で費用大幅UP |
| コンセント増設簡単 | 電気容量不足で引込工事 |
■ 主要費用目安(参考)
| 施工内容 | 目安 |
|---|---|
| 内装一式 | 150〜300万 |
| 浴室交換(配管含む) | 120〜200万 |
| キッチン | 80〜150万 |
| 電気容量アップ | 10〜50万 |
※建物構造・管理規約で変動
■ コツ
- 管理組合に工事事例を確認
- 排水経路・電気容量は必ずチェック
- “できません”と言われる前提で想定
④ “出口戦略”から逆算する家選び
― 住む前に「いつ」「誰に」売れるかを考える
築古購入は
住む家と資産の二面性を見ます。
■ 出口戦略の三原則
✅ 誰が次の買い手になるか
- ファミリー?
- 単身?
- 高齢者?
階段5階→高齢者需要は薄い
=出口の間口が狭くなる
✅ 賃貸に出せるか
- 駅近
- 管理良好
- 間取り使いやすい
→ 貸せる物件は売りやすい
✅ 価格が下げ止まるエリアか
- 地域人口動態
- 再開発有無
- 公共交通アクセス
→ 西尾市駅近は良いが
階段 × 高層階は要慎重
■ 判断フレーズ
“住みやすい”より
“手放しやすい”
■ まとめ
築古マンションは、
情報 × 視点 × 計算で成功できる市場。
- 修繕積立金は総額÷戸数
- 露出配管は管理姿勢の鏡
- リフォームは構造次第で変動
- 未来の出口まで逆算
知ったうえで選べば
“賢い掘り出し物”に出会えます。


