借景のある家づくり。

写真は先日、お家を見せてもらう日を開催した小美の家。
すぐそばに山のある自然豊かな集落にある家です。
土地を読む家づくりのひとつ、借景をとりいれたプラン。

借景とは、家のまわりの景色(山や湖、海や川や自然にある景色)を、お庭の背景の一部として借りること。遠くにある山を借景した場合には、自宅の庭との遠近感で空間に広がりを感じられる効果もあります。寺院の庭園などで使われる技法のひとつです。
小美の家では敷地内にあえて”塀”を設けず、目の前の畑と集落の風景、その奥にある山を景色として切り取りました。
家の外となかがゆるやかに繋がり、心地よい空間に一役買っています。
借景はなにも眺望に優れた敷地だからできたことではなくて、公園の緑だったり街路樹を景色の一部として切り取ることもできます。
借景のある窓からみえる風景




ダイニングの反対側にはヤネウエデッキを採用されました。出入りできる大きな窓から見えるのはなんと公園の大きな木…!
お庭にも樹木はありますが、周囲の緑も利用。工業地帯のイメージもある愛知県ですが、まだまだこのように緑を残す場所はあります。
たかが窓、されど窓
余談ですが以前に、実施設計をしている石原智葉が 「窓の取り方が設計者の腕の見せ所、考えたことが表れる場所」と話してくれたことがあります。
冒頭に紹介した小美の家についている大開口も敷地から見た方角だけで言うと西側に配置されています。それでもあえて西側に大開口を設けたのは、窓が外観や断熱性能だけでなくて、住み心地に大きくかかわるからだと考えています。
「ただ窓を気持ちよさそうな方向に取りつければよい」
・・・という訳にもいかないのが、家づくりの面白いところ。
「与えられた土地をよみ どうしたらいいところを活かせるだろう。」
そんなことを毎邸時間をかけて悩んで、やっとひとつの家が出来上がります。
スペックや数値だけでは計れない、住み心地にもぜひ注目してほしいなと思います。

しばらくお家を見せてもらう日はありませんが、何気ない風景も景色に変える、暮らしの一部にとりこむ、日常を豊かにする家づくり のひみつは10/29開催の家づくり勉強会 でその魅力をお伝えしています。
設計士目線での土地相談や個別相談もできますので、ぜひお問い合わせください~!!
(文・ササキ)