理にかなった「アンなフォルム」がかっこいい
いまからちょうど一年ほど前のこと。
岐阜県にある杉山製作所の社長シマダさんが事務所まで訪れてくれました。

「一緒にキッチン考えてみない?」とお誘いいただいたのがはじまりだった。
これまでも生活道具のいくつかの制作にかかわってくださっていて、またとないお誘い。
それから一年。
たまに、インスタなどで新キッチンの開発を匂わせつつ~も、なかなか紹介できていなかったので
間取りと暮らしを変える新キッチン「アンフォルム」
もっとみんなに知ってほしい~!!
新しいキッチンについて、この日は天板の形状のことを検討の回だった。


なんといっても特徴は丸みを帯びた有機的な天板の形。
当初は陶器のうつわをモチーフに社長が考案したものがもとになっている。
上のラフ画は実際の形とは全く別モノであるが、この日のワークショップの際に村澤さんが社長の図面をもとに天板に下書きを起こし、その場でカットしながら厚み高さ奥行き、幅から丸みのカーブの具合まで”なんかいいじゃん”なバランスをみきわめて形が決まった。
(実際には、その後杉山製作所とのワークショップを重ねて決定したのだが)
その不定形な天板の形からアンフォルム、と名前がついた。
キッチンにダイニングテーブルがくっついているようにみえるが逆である。
一般的にキッチンの作業台は800mm~850mmが使いやすいと言われているが、
アンフォルムは「テーブルキッチン」なので高さも通常のキッチンの高さよりもぐっと低い。

「背の高さに合わせた寸法」や「一般論で使いやすいと言われているから」と作業面を高くすると別のものになってしまう、
たくさんの食器をしまえると安心だからと大きな収納を設けたばら、これも別のものになってしまう。
ゆったりとした天板に、無垢鉄の脚。重心の低い姿。
しまえない、見える。そこにアンフォルムの美学がある。
具体的にはどんな使い方を想定している?


具体的にアンフォルムのあるお家での暮らしはどんなものになるのだろうか。
・使い手を選ばないがあえて挙げるとしたら共働き夫婦
・子育て真っ最中、もしくは子どもが巣立った後の夫婦のくらし
・ひとりになっても持て余さない
・アイランドタイプでも、すっきりと暮らしたい
・人を呼んだときにも8人くらい座ってご飯が食べられる
・ながら家事をしながら家族の時間がうまれる
・男性も使いたくなる…などなど。
居酒屋カウンターのように使うことを想定したキッチンはこれまでも世の中には存在はしている。
実際そのようなキッチンのあるお宅が毎日カウンターだけで食事をするのかというと、そこだけで生活が完結するでないように思う。家もキッチンと別にダイニングスペースがあるプランになっていたように思う。
アンフォルムは、ただカウンター天板をつけただけではなくキッチンとしても家具としてもしっかり使えるもの。
シンプルながら存在感もあるため大きい家にも似合うし、小さな家を設計する際には坪数をコンパクトに抑えるためにも有効だ。
キッチンとしての必要な機能をもたせつつもテーブルも一体となっているので、
家族がくつろぐ居場所になるのではないか(=家の間取りが変わるのではないか)という期待もある。


キッチンの作業性はいかほど。
コンセプトはわかったけど作業性もヤッパリ気になる所よね。ということで
じつはですね~愛知県以外のかたにも使ってもらえるよう、杉山製作所さんがアンフォルムの使い方動画を上げていますので要チェックです。
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おまけ)


こちらのお家は、まさしくキッチンのダイニングでくつろぐイメージのプランになっています。
正面奥の壁面にはタフなキッチンのカウンター、手前にアンフォルム。
本当に必要なものをよりすぐると、これだけで充分では?という気すらしてくるのですが、
家はどのように暮らしていけるかのほうが大事で、大きさはそんなに必要ないのかもしれませんね。