2021年10月の股旅社中~蒲郡編~
お家を見せてもらう日も近い、清田の家と行用の家に製作家具のチェックに向かいました。
今回は股旅社中メンバー、村澤さんのみの参加でした。

実は名古屋からもアクセスのよい蒲郡駅で合流です。

いざ出発。
まずは蒲郡のまちを一望できる小高い土地にたつ、清田の家。…の前に近くにあるパワースポット・大クスの木に立ち寄りました。

全て写真に納まりきらないこの大きさをご覧ください。※写真奥・イシハラと村澤さん
さて、お家を見せてもらう日もひかえた本命の清田の家、大クスの木からほどなく位置しています。

清田の家についてお施主さんの言葉を借りるならば「ポジティブな意味合いでのどうとでもなる家。」かもしれません。
特徴を3つあげるとしたら
①プラスターボードレスの内装仕上げ
②内部の建具が少ないプラン
③照明計画もごくごくシンプル
言葉じりだけで理解しようとすると
単純にごくシンプルな選択をされたのだなあ、くらいに捉えられてしまいそう?です。
しかし訪れてお施主さんのお話を伺って「30代の若夫婦が長く住む」点で考えた時、シンプルなだけではなく理に叶っていてめっちゃ合理的!な選択にしみじみと思えてきました。
今回はそんな清田の家の特徴と魅力を伝えられたらいいなと思います。
①プラスターボードレスの内装仕上げ
最近のイシハラスタイルの家は「住みながら自分でカスタムできる余地」を室内空間にもとりいれています。
その考え方の一環としてプラスターボードレスの内装、杉の板張りを提案しています。
プラスターボード の壁(クロスや塗りの壁の下地に使われる材料)にも施工がしやすいなどの良点もあるのですが、棚や重たい物を壁に取り付けたいときに心もとないのです。先に下地工事をしていれば別ですがその分お金もかかります。棚を付けたい場所をあらかじめ決めて住まい手さんが新築時の計画に合わせてずっと住むことになります。
ですから プラスターボードレスの内装、杉の板張り はいわば下地と仕上げを兼ねた壁!!下地の場所をいとわず必要に応じて棚を追加・ほしい場所に変えることができることは気楽でもあります。
清田の家の室内の壁の仕上げについて。
杉板は自然素材は工業製品ではないため一枚一枚に個体差があります。

1枚1枚個体差のある杉のラフ板をコンマミリ単位で調整して1階の床から屋根下まで大工さんが人の手で張り上げます。
どんな室内の仕上げの壁が良いかは、将来どのように暮らしていきたいのか?によってもまちまち。どんなインテリアが好みなのか?珪藻土や塗りだから似合う暮らしもあるでしょう。
一方、板張りの壁はちょっぴりアウトドア寄りの暮らしの雰囲気をうけとるひともいるかもしれませんね。施工性で見たときには個性のある素材を使うことは、空間が整うよう最善を尽くす大工にとっては根気のいる仕事でした。
しかしそれらをふまえたとしても長い目で住む人の暮らし方を考えたときや、今まで家がこうだといいのにな、とか。世の中にないからできなかったことができるかもしれない。 家を道具として捉えたときに そんな可能性を含んでいるのです。ちいきの環境や山のことを考えても良いことづくめだから私たちもめちゃくちゃおすすめしています。

②内部の建具が少ないプラン

室内の空間で建具がある場所はトイレと浴室と繋がる洗濯脱衣室で、1階のリビングと2階の子供室になる大きな空間は壁で囲わないフリースペースとなっています。
家を建てるときに30代の子育て世代である夫婦が一生暮らす家として「子育ての期間をどのようにとらえて暮らすのか?」
長寿が当たり前となった今の社会では短い子育ての期間よりも、子育てが終わって夫婦で暮らす時間の方が長いことの方が多いハズなのに、そこをイメージして家づくりができているか?
将来リフォームするでしょ。というような「ネガティブなどうとでもなる家」だと使わない子ども部屋の用途はきっと納戸になるのでは(まさに実家がそうです笑)
実際、私も30代の子育て世代です。家づくりの際には「子供も小さくて現段階のほしい空間やあると便利なもの」にフォーカスしてしまいがちだなと思いました。実際に子育て後の暮らしはイメージはしにくいけども、子育てがひと段落したときに使いみちの選択肢の幅が少ない部屋がある家に夫婦二人で何十年も暮らすことって勿体ないような?
清田の家はそういった面でも、子育てが終わってからのお家の過ごし方空間を持てあますことなく使えるという意味でも「シンプルで無駄がない選択」に思えます。

ちなみにいうと1階と2階は吹抜けでつながっており土間には薪ストーブもあり、南に面した大きな木製の窓からは日差しと風が入ります。
生活環境としても「囲われていない」ことが理に叶っています。
③照明計画もごくごくシンプル
清田の家の照明計画はめちゃくちゃシンプル。
壁についているブラケット照明もお風呂・ロフトのみ。
LDK・寝室・フリースペースは後付け可能なペンダントタイプ。
その他の非居室も後付けできるように計画しています。
至れり尽くせりな家も素敵だけど、考える余地があるって住むことが楽しくなりそうです。
自分で必要な場所に移動して使えたり、必要に応じてプラスできたりカスタムしながら暮らすことができたならば木の家に住む醍醐味を存分に生かして暮らせるのではないでしょうか。
少し長くなりましたので、つづきはまた今度。
3回くらいにわけてレポートしないと伝えきれない股旅の日となりました。
(文・写真/ササキ)